21世紀を迎え一層と社会が変化する中で、ヤギは新たな領域の開拓に挑戦する。その一つが消費者直結型の自社インナーブランド「エニワイズ」だ。消費者直販への挑戦を進めた何よりの理由は、消費者の声を直接入手できるメリットに着目したからだった。消費者ニーズに合った商品開発が可能になれば、OEM(相手先ブランドによる生産)ビジネスでの相乗効果も見込める。
さらに、消費者ニーズという「情報」を取引先に提供できるのも強みになると考えたのだ。その狙い通り、既存事業であるOEMも大きな進化を遂げる。従来は大手アパレルから単純下請のOEM生産が多かったが、素材から製品までをトータルで企画提案する提案型のODM生産という新たな事業モデルへと転換。2006年には東京・青山において初の総合展示会も開催し、新たなヤギのビジネススタイルが確立された。2010年には、テキスタイル担当やデザイナー、マーチャンダイザーらが部署の枠を超えて集結し新たにOEM企画チームが設置され、「ヤギでなければできない」独自の価値を提供する新体制が整った。